音楽地獄

Twitter(@ame3141)で書いてることの延長みたいなかんじ

「Animals as Leaders」のドラムをちょっとだけ分析した。

 

 

Animals as Leaders(以下AAL)って言うのは、トシン・アバシっていうギタリストが中心になって活動してるインストバンドです。ギター二人にドラム一人っていう構成です。メタルやフュージョン、Djentといったジャンルの要素を含んだ楽曲が多いっぽいです。

 

このバンドの印象としては、「拍子感がよくわからなくなる」っていう大きな特徴が一つあげられると思うんです。これが好きなオタクもいれば偏屈な変拍子は嫌いなオタクもいると思うのですが、ともかく簡単な4拍子とかわかりやすい3拍子とか、AALではあんまりない気がします (これはDjentと言われるバンドに多く共通する特徴として挙げてもいいのかもしれませんがとりあえず割愛)。

 

さて、今回の記事の要旨を書くと、AALのドラムは、複雑なリズムパターンを用いることで《拍感を曖昧にさせる》役割を担っている。しかしその一方、"クリックのように"一定のリズムを刻むことで《拍感を安定させる》役割も担ってると思うんです。」

 

・・・ていう話です。うーんなんか分かりづらくなっちゃった。

 

んで、今日最終的に言いたいのは、「AALのドラムは全く違う役割を同時にしてる。すごい。そして何より、こんな役割をしっかりこなすドラマーMatt Garstka(マット・ガーストカ)がすごい。」ということ。これだけです。もうこれに尽きます。超大好きなドラマーです。

 

曲を例に挙げてちょっとだけ解説します。

 

今回参考にした曲はこれでやんす


MEINL DRUM FESTIVAL 2015 – Matt Garstka “Ka$cade” – Animals As Leaders

(Kascadeの2015年ドラムフェスティバルの時のライブ音源みたいです。他のパートは全部同期で流してて、ドラマーの動作と音がわかりやすかったのでこの動画にしました。リンク切れになってたら教えてくらさい。)

余談。この人のドラム大好きなので、ドラム譜面を1曲分作ろうと思ったけど、力不足で面倒くさくなったので諦めました。

 

 さて、冒頭の8秒だけを譜面に起こしてみました。割と意味わからんことやってます。

 

譜面を見てみましょう。

 

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なんか!!!面倒くさそう!!!!!!!めんどくさっ!

 

※「5連符」に関する訂正 

譜面中の赤字書き込みで「5連符」ってしてしまったけど、ここで「5連符」という捉え方をするのはたぶんあまり適切ではないです。通常の「○連符」は、拍打ちではないリズムを記載するために使われ、ここの場合はそれに該当しないからです。誤用で御用。・・・すいません。

 

※以下、読まなくてもいい拍子に関する補足

今回は10分の4拍子という拍子を選びましたが、曲全体を通して見ると適切ではないかもしれません(本来ならばこの曲は8分の4拍子で一貫してカウント可能。しかし10分の4拍子にすると、帳尻合わせのため6分の4拍子などを用いて変拍子にさせる必要があるため)。譜面に書く便宜上このようにしました。あと一応ここで終止感がなくもないので、今回は図の通り10分の4拍子の1小節で一区切り、ということにします。

 

 

一応この譜面を、解説すると、

 

【青】(①〜⑩のまとまり)

シンバル→拍頭を打ってる

バスドラム→シンバル1回につき4回

 

【赤】

スネア→バスドラム5回につき1回

 

 

こんな感じです。まあ細かいことはいいので、とにかく、図にしたら、「どうやら【赤】も【青】一定の規則で繰り返しはしてるけど食い違ってるらしい」ということはわかりました。

 

で、これ、音楽用語でポリメーターという状態なんだそうです。肝心のポリメーターに関する説明はすっ飛ばすけど、かの有名なポリリズムとだいたい同じようなことが起きてると言っていいとおもいます(た、たぶん。だいたい同じ!!多分!!OKOK!)

 

ポリリズムとは、ベースが2拍子だけどギターが3拍子やってるとか。そうあのポリリズムPerfumeポリリズムも、サビでポリリズムを用いたパターンが登場します。

 

 

▼余談

他の方の記事ですが、参考リンクに引用。音楽用語としての「ポリリズム」の説明もふまえながら、Perfumeのヒット曲「ポリリズム」について書かれた記事です。この曲の特異性を鮮やかに解説されています。興味ある方は是非。

note.mu

 

そして、このポリメーターやポリリズムは「なんかチグハグだけどたまに一致する瞬間もあって、よくわかんないけど面白いかも〜〜〜!?」みたいな効果を生み出すことができるんです。そしてさらに、拍子感を失わせて、「摑みどころのない印象を与える」という作用を引き起こさせるわけです。  

そう、そしてこれがAALのドラムの特徴の一つである拍感を曖昧にさせるという役割に当てはまると思うのです。

 

これはポリリズムの「摑みどころのなさ」効果が成功してる良い例なんじゃないでしょうか?、どうですかね。実際に音源聞いても、ここのドラムがすぐには何やってるかわかんないとおもいます。変拍子になれたドラマーさんや、ポリリズム多用してる音楽ジャンルの奏者さんなら分かるのかもしれないんだけど、少なくとも私はわかりませんでした。だから私も、視覚的な面でドラムが何やってるかわかる動画を選びました😃 ✌︎

 

 

 

さて、先に挙げたもう一方の特徴である拍感を安定させる》役割に関して述べたいとおもいます。

 

これは単純。動画の中で、彼はずっとバシン!バシン!とライドシンバルを鳴らし続けてるじゃないですか。これのことです。まるで、メトロノームのクリックのように作用しているんです。

 

実際、AALの楽曲は、いくらギター二人が変拍子や複雑な奇数拍子の組み合わせになっても、ドラムスのうちどこか(シンバルorスネアorバスドラ)は、ずっと単純なビートを刻み続けてることが非常に多いです。例を挙げるの面倒くさいんで 聴いてみてください。

さっきも書いたけど、要するにクリックが鳴ってるのと同じ状態なわけですね。複雑な拍子をぶっ込みまくってリズム的にカオスになってるバンドが、バンドとして縦を合わせるための唯一の目印になる。(AALの和声や旋律の特徴については今回述べないけど、でもユニゾンとか多いし、どんなに面倒くさいリズムでも縦が合わないと綺麗に聞こえないんだよね)。

 

ということで、以上が冒頭に述べた「AALのドラムは、複雑なリズムパターンを用いることで《拍感を曖昧にさせる》役割を担っている。しかしその一方、"クリックのように"一定のリズムを刻むことで《拍感を安定させる》役割も担ってると思う」という要旨の説明になります。

 

 

で、すごいのは、これを再現できるマットガーストカ本人の力量だと思うんです。

(あ・・・これが私がホントのホントに言いたかったことです。もうちょっとだけ頑張る・・・)

 

 

私はバンドの経緯とかあんまりよく知らないんですが、彼はどうやら途中から入ったドラマーなんですね。2012年以降かな。だから、楽曲自体にどこまでマットのドラム作曲センスが盛り込まれているのか、私はわかりません。そもそもギタリストのアバシが主導しているグループなわけで、楽曲も彼がギターで弾くフレーズを元に作っているんじゃないかなと思います。もう乱暴に言ってしまえば、AALのドラムは「変態ギタリストの作る難解なフレーズに合わせて作られた非常にめんどくせえドラムパターン」でしかないわけです。

そんな面倒臭ドラムを叩きながらも、バシン!バシン!と正確にシンバル鳴らし続けるって、結構すごいことだと思います。そう、マットガーストカのドラムはとても正確だと私は思います。私はね。

 

これらのことに気づいたのは直近の来日ライブ(2017年)を見たとき。とにかくドラムが力強くて正確で美しい。音質が均等に揃っていて、なおかつ力強くてよく響く。要旨で述べてたクリック的役割を果たすのにも最適だと思っています。ドラムを叩く動作が非常に無駄がなく美しかったことを覚えています。

 

正直音源だけ聞いてた時は「AALのドラムって打ち込みだっけ・・・?あれ?人間がやってるの?」って印象でした。

ぶっちゃけ、現状の音楽製作って、ある程度の環境下であれば、もう打ち込みなのか生ドラムなのかわからない次元にあると思います。打ち込み音源は”リアルなドラム”と聞き分けがつかないし、逆に人間が叩いた生ドラムの音源は、音楽編集ソフトで好きなように加工することも出来る。それに音価に均質さを求めるようなAALの音楽は無機質な”打ち込みチック”なドラムとも相性がいい。

でもライブ以降は「このバンドはこういうドラム叩けるドラマーが居るから成り立ってるんだ」とすら思いました。少なくともライブではそうだと思う。それくらい圧倒的存在感を放ってたと思います。彼はライブで真価を発揮するドラマーなんではないでしょうか。

 

本文からちと逸れた余談ですが、彼の叩くドラムは「歌心がある」とも感じています。これは推測の域を出ないのですが、AALの複雑なドラムは、頭でメロディを鳴らさないと到底叩けない&覚えられないドラムパターンだと思うんです。少なくとも彼がAALを叩く時は、頭の中でギターの旋律を歌ってるんじゃないかなあと。もしこの予想が当たっていれば、「歌心のあるないに関わらず旋律を歌わざるを得ない状況」とも言い換えられますが、ともかくそれが表現可能なのはやっぱり本人の技量に還元されるわけで、有能なドラマーであることに間違いないと思います。

 

 

 

今回の結論

・複雑なポリメーターを用いることで、リズム面からも浮遊感や摑みどころのない印象を与えている。

・一方、拍感を保つためのクリックのような役割を果たして、バンド演奏を支えている。

・以上2点を包括するリズムパターンは非常に複雑になるが、双方とも楽曲の中で効果を表している。これはドラマー個人の力量に依る面が大きいと考えられる。

 

これが私の、AALのドラムに対する印象です。

長ったらしいけど要するにマットガーストカは良いぞっていう記事でした。

 

「ここがわかりにくい〜」とか「ここは共感できる〜」とか、なんかあれば是非コメントください。

感想お待ちしておりやす〜。